ユダヤの神秘思想であり最高の叡智とされる“カバラ”とは、ヘブライ語で「受け取られたもの」または「伝授されたもの」を意味します。古代の叡智“カバラ”では、超越的な神の世界と人間の世界の構造を、生命の樹「セフィロト」という一本の樹に精密に示しながら、私達が深遠なる神へと至るプロセスを象徴的な要素と通過儀礼(イニシエーション)的な体系として、この世に樹立させて来ました。この生命の樹「セフィロト」は、神と人間と宇宙との三者の密接な結びつきや、深遠なる高次元の世界とその秘密を解き明かしていくもので、霊的に自己を探究する者には、偉大なる叡智を今日まで与え続けてきました。この秘儀的な叡智の集合図こそが、ユダヤ神秘思想・カバラによる生命の樹「セフィロト」であり、この「セフィロト」は、神の諸力とも、神の器とも、神の輝く衣ともいわれ、神の属性を象徴的に顕わしたものです。
Sephirothセフィロト』解説
最初に神は「セフィロト」という光輝を放射し、この宇宙を創造されたといわれています。この後「セフィロト」は、3つに分かれてそれぞれ柱を創り、生命の樹を完成させました。左は“峻厳の柱”、右は“慈悲の柱”、中央は“均衡の柱”から成り立っています。この生命の樹「セフィロト」には、10個の放射点(セフィラ)があり、一つひとつが直観的な洞察に満ちています。私たち探究者が自己を実現するためには、自らの内に10個のセフィロトの叡智を具現化していかなければなりません。
STORY1. カバラの起源
『カバラ』は、最初に楽園に住まわれる神から生み出され、さらに、楽園で戯れている天使の群れから、ある天使たちをお選びになり「カバラ」の叡智を授けました。天使たちは、神から授かった「カバラ」を幼子を育てるように大切にしました。楽園には、神の秘密を教える学校があり、そこで天使たちは「カバラ」を完成させていきました。アダムとイブが楽園でおかした罪により人類は、素直な心を失っていました。人類が創造された頃は、気高く至福に満ちていた世界に住んでいたのに、いまは苦しみの世界に住んでいる。これを見た神は、とても哀れみ慈しみの心を持って、原初の気高き至福の世界に人類が還れる様にと天使たちに「カバラ」を授けてくださったのです。天使たちから“アダム”へ、“アダム”から“アブラハム”に伝わり、“アブラハム”は後にエジプトに移り住み、やがてはエジプトで誕生する“モーセ”へと伝授されていきます。そして、カバラの奥義にもっとも達したといわれる“ダビデ”と“ソロモン”へ伝授されていきました・・・。
STORY2. 至高なる神 無限なる存在『エイン・ソフ』
カバリスト達は、限りなき無量無辺の絶対なる存在を『エイン・ソフ』と呼んでいます。この世が生まれた第一原因であり、属性を持たない神性さ、無限であり永遠に変わることのない存在といえます。『エイン・ソフ』は、自らの姿を見ようと欲してこの世を創られたとありますが、『エイン・ソフ』から私達の住む現象世界は、じかに発生させることはできませんでした。そこで『エイン・ソフ』は、自らと現象世界を媒介とさせるために「セフィロト」を放射したといわれています。この世に存在する自然万物はすべて「セフィロト」の力によって発生したものなのです。『エイン・ソフ』は、全宇宙の統治者であり、自然万物の中に秘められて存在しているといわれています。
STORY3. 生命の樹・セフィロト さかさまの樹
生命の樹「セフィロト」は、無限なる者・無限なる源泉から自然万物を発生させるために放射された10個の光球(セフィラ)といわれています。カバラの生命の樹は、上下が“さかさまの樹”であり、天に根を広げ、地に枝を伸ばしていくもので、超越的な根源から宇宙の顕現と創造のプロセスを顕わす象徴として描かれています。これは、生命の源泉が太陽にあり、万物の種子が天空に宿っているということも顕わしています。カバラを探究する者は、生命の樹「セフィロト」という天と地に満ちた秘密を解く鍵を手にし「神のかたち」としての自分を発見することができるのです。
古代秘儀の神殿には“汝自身を知れ”と掲げられています。
STORY4. 原初的な人間 「アダム・カドモン」 
「アダム・カドモン」は、「創世記」のアダムが創造される以前に形作られた原初的な人間であり、「神」の反映といえます。彼は、存在世界が“神的世界”から“物質世界”に広がり、時の終わりに再び“神的世界”に戻って融合する以前から顕現する存在であり、「神」は自らの姿に似せて人間を創ったという言い伝えは、まさに彼「アダム・カドモン」のことであります。「アダム・カドモン」は、人間の姿をしていますが「神」の写しという仕事をするために一切の必要なものを含んでいる完全な存在です。意志・知性・情緒・活動においても完璧な存在であり、至福に満たされた存在なのです。カバリスト達は、真摯に祈りを捧げながら、究極の愛に目覚め、やがては「アダム・カドモン」と自己を合一させていきます。その時、私達には大いなる至福と輝ける栄光が与えられ、人生の勝利者となるのです。「アダム・カドモン」は、この世を写す鏡であり、また同時に鏡を見る者なのです。
STORY5. モーセの「十戒」
モーセがシナイ山で「神」から授かった「山上の垂訓」こそは、カバラの叡智であり、私達人間に限りない可能性をもたらしてくれるものでした。モーセの「十戒」はセフィロトに基づいて作られ、戒律・行為・献身・考察などを示しながら、「神」への深い感謝と畏敬の念を持って祈り・行為する“献身の道”を顕わしています。

1.ケテル   汝我面の前に我の外何をも神とすべからず
2.コクマー  汝自己のために何の偶像をも刻むべからず
3.ビナー   イエホヴァーの名を妄りに口にあぐべからず
4.ケセド   安息日を憶えてこれを聖潔すべし
5.ゲブラー  汝の父母を敬へ
6.ティファレト 汝殺すなかれ
(霊的成長の希望を殺してはならない)
7.ネツァク  汝姦淫するなかれ(霊的生活を穢してはならない)
8.ホド    汝盗むなかれ(得た知識を乱用し、不正な利益を得てはいけない)
9.イエソド  汝その隣人に対して 虚妄の証をたつるなかれ(自他共にいつわらない)
10.マルクト  汝その隣人の家を貪るなかれ(執着や貪りを戒める)
*ユダヤの秘儀 セヴ・ベン・シモン・ハレヴィ著 平凡社から

STORY6. 七つの枝を持つ燭台 「メノラー」
ユダヤ神秘思想の秘儀的な教えを示す最初の象徴は、この七つの枝を持つ燭台「メノラー」といわれています。モーセがシナイ山で「神」から授かった「山頂の垂訓」と共に、この「メノラー」の秘教的図式を授かり、また、礼拝堂で行なわれる祭事に用る祭具として作り方を授かりました。中央は「神の光」を顕わし、周りの六つはその栄光を反映させたものです。それぞれの枝は「セフィロト」における10個のセフィラの位置に対応し、”22個の飾り”は“22の小径”に対応しています。つまり、この燭台も生命の樹「セフィロト」と親密な関係にあるということです。別な視点からは、七つの枝は中心軸で示される太陽の周りを巡る七つの惑星を顕わしているともいわれています。(当時は、七つの惑星しか発見されていない)
STORY7. カバラの道 
カバラでは、人間の本質を見極めると共に、霊的向上や魂の成長を学んでいきます。カバラリスト達は、「活動・献身・考察」を毎日行いながら、この後に来る第四の道・神秘的な悟りの道を経験し、さらに霊的成長を続けていきます。修行が完成する前には、多くの段階を通過しなければなりません。最初に、この世界へと下降してきた無垢な魂は、再び「神」との合一を果たすために、経験を持った美しき霊へと昇華し、やがては「神の意志」と一つになり、そこに「我と汝」の姿を見るのです。カバラは、私達が大いなる存在へと至るために与えられた意識のはしごであり、偉大なる叡智なのです。
(C) Copyright 2003 LINA DANAE
Presented by Spirit of Universe Inc.
spirit@starpeople.com